えぼぐの神様N

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元新聞記者がサブカルライフを送りながらオカルトを掘り下げるブログ

隣人三本勝負~お前はいったい誰なんだ!1本目 VS ムハマド~

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タイトルで出オチ、1/3本目です

 

7年ほど前の話、大学生になって初めて県外に出た私は、

避けては通れないあるイベントに胸を躍らせていた。

 

そう、同じアパートの人間との交流、である。

 

タイミングの悪い良いことに、私は当時、

めぞん一刻にドはまりしていた。

 

知らない人のために説明すると、めぞん一刻とは

上京した浪人生がボロアパートでラブコメしたり

青春したりする作品である。

 

当時は、一人暮らしの参考になればいいと思って読んでいた(記憶がある)が、それによってえぼは同じアパートの人との交流に並々ならぬ憧れを抱いていた。

 

ぶっちゃけ音無響子さんに憧れていた。

 

それもしょうがないのだ、オタクはああいう儚げなお姉さん

には本能レベルで勝てないのである。敗北しか知らない。

 

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そして3月末日、入学式の前日である。

新しい住居に荷物を運び終えた私は管理会社に電話をした。

 

えぼ「もしもしすいません、自分の住んでる〇〇(アパート名)なんですけど、合計4部屋あるんですけど、空き部屋ってありませんか?家賃が安いので友人にもおすすめしようと思ってて~

 

管理会社のお姉さん「あーすいません、実はそのアパートはもう空き部屋がなくて~」

 

えぼ「あ、わかりました。残念ですー。」

 

私の住んでいたアパートは1階が駐車場、

2階に2部屋、3階に2部屋あるという珍しくもないアパート。

 

そして今判明した事実がある。

 

男か女かは知らないが

 

この部屋には自分以外最低3人の「同居人」がいる

 

我ながら同居人の存否を確かめるのに

ずいぶん回りくどい方法を取ったと思う。

 

しかし、個人情報とかなんとかが五月蠅い昨今、下手に警戒なんかをされたくないのも事実。敵を作ることは別に構わないが不用に不信感を買うことは何のメリットもない。

 

それに、人数の把握ができたおかげで「引っ越しの贈り物」の

数量も正確に用意できる。

 

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自分が手土産に用意したのはミスドだった。

女性受けを意識して甘いものが好きな人は多いだろう

自分が食べる分も含めて一部屋に3個ずつ、合計12個

なお、両親が生活費を振り込んでくれるのを忘れていたため、

この時に使ったお金のおかげで翌日昼夜のご飯が食べられなくなったがそれはまた別の話である。

 

正直音無響子さんが出てきてくれたら最高だが、

そうでなくても自分はよかった。

 

四谷のようなアヤシイ隣人でも二階堂ちゃんのような

同世代の子でも、今までになかった関係性そのものを望んでいた。

 

自分の隣の部屋は一番近くなので最後にして(ショートケーキのイチゴを最後に食べる人にはこの気持ちを分かってもらえると思う)、先に3階に行くことにした。

 

ピンポーン…

 

不在

 

どこかに出かけているのかな、お隣りへ。

 

ピンポーン…

 

不在

 

嫌な予感がした。

同時に12個もドーナツを買ったことを後悔していた、

このままじゃ一瞬で糖尿病になってしまう。

時刻は夜寄りの夕方、ちゃんと家にいろよヤンキーかよ。

 

これで隣に誰もいなかったらどうしよう、

12個のドーナツを自分で食べることになるのか。

 

最早心の中には不安しかなかった、

最後の部屋、自分の隣の部屋、頼む、我儘は言わない

 

誰でもいい、誰かいてくれ…!

 

ピンポーン…

 

不在?

 

諦めかけたその時、奥でガタリと音がした。

咳払いをしてドーナツを構える。

 

鍵を回す音、人生初めての隣部屋の人間は…

 

男だ、目が黒い、いや全体的に黒い。

精悍そうな顔立ちで鼻が高い

いや待って、てかこれどう見ても

 

「Hello?」

 

外国人だった。

 

しかも日本語通じないっぽい。

 

めぞん一刻ブックオフに売ることにした。

 

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彼の名前はムハマド、バングラデシュから来たらしい。

なお話す言葉は全て英語のため、会話文は全て翻訳を通す。

 

えぼ「えーっと、仕事してるの?何歳?」

 

ムハマド「42歳、学生をしてるよ。そこのK大なんだ」

 

なんと同じ大学だった。

曰くムハマドはバングラデシュの出身で、

とある村の貴族(村長?)的な立ち位置の家の息子らしい。

 

日本の大学に来た理由は、医療を勉強して医者が不足してい

自分の故郷の助けになりたいということらしい。

 

ただ、バングラデシュはあまり豊かではない国のため

特待制度を使って医学部に入学したというのである。

 

もう正直設定が濃すぎてついていけなかった。

 

前の二人が不在でよかった

いても多分ここの設定が濃すぎて覚えてる自信がない。

 

少し話した後で私は手に持っていたドーナツを渡した。

しかし、受け取ったムハマドは何故か中身を確認した後

それを突っ返してきたのである。

 

そして目の前で携帯をいじり出すムハマド、

異文化ここに極まれり、分かり合うのは難しいのか?

 

そう思った瞬間、ムハマドは携帯の画面を見せてきた。

 

乳化剤、豚肉、お酒…

食べ物であったり、原材料であったり、

そして苦笑いしながら話す。

 

「Muslim rule.」(イスラム教の教義でちょっと…)

 

驚いた、宗教に治外法権は存在しないのだ

 

貰ったものを突き返すのは恐らくどこの世界でも

あまり好まれるような行為ではないのではないだろうか。

 

それを、故郷の人間など誰も見ていない異国の地でも貫き通す。

教義に従い、己を律して、正直格好良かった。

 

怒る訳などない。

 

私はこうして、ドーナツ12個を食べる覚悟を決めたのだ。

(お腹は壊した)

 

一本目、完敗

 

追記①

 

3か月後

 

えぼ「(ギターの練習してるし)夜うるさくない?」

 

ムハマド「ううん、日本の夜は静かだし」

 

えぼ「へー、バングラデシュの夜はどんななの?獣の声が聞こえるとかそういう感じ?」

 

ムハマド「(手を銃の形にして)BAN!BAN!」

 

えぼ「S...Sorry...」

 

追記②

 

ムハマドが突然夜中に訪ねてきた。

時計を見ると午前2時、何を考えているのだろうか。

 

えぼ「どしたのムハマド」

 

ムハマド(無言で個包装のチョコレートを渡してニッコリ)

 

えぼ「あ、ありがと…」

 

ドロッドロに溶けてたから捨てた。